漢方の基本は陰陽五行
いつも元気で健康でいられれば良いですが、時にめまい、冷え性、頭痛、生理痛、腰痛、膝痛、慢性化した咳、息苦しさ、口が乾く、といった体調の不良や気になる症状に悩まされることがあります。
病院に行っても原因不明といわれることもあるでしょう。
しかし、中医学(漢方)には原因不明がありません。
不調がある=原因がある、と考えます。体調不良や気になる症状の原因を考える時に、基本となるのが陰陽五行論(いんようごぎょうろん)です。
この陰陽五行論を良く理解し、応用できる漢方薬局が漢方相談のエキスパートといえるでしょう。
陰陽(いんよう)の秘密
陰陽五行論(いんようごぎょうろん)とは、二元の陰陽論と五元の五行論を組み合わせたものです。
陰陽は、中国の古代哲学のひとつで、人間は自然の摂理に逆らうことは出来ず、大自然と人間は同じ(天人相応)、という考えのもと「すべてが相反する関係のなかで均衡を保ちながら統一している」という考えです。
陰と陽はもともとは伏羲(ふくぎ FuXi)さんという方が、竿を地面に立てて「光」を「陽」、「影」を「陰」としたことからはじまっています。
下図の白と黒に分けられた円は陰陽の関係を表す太極図(たいきょくず)です。
陰と陽はしっかり分けられています。また、陰の中にも陽があり、陽のなかにも陰があり、曲がりくねった勾玉の形は「常に変化する(動的である)」ことを表しています。
陰と陽は互いに相反する特性をもっていますが、どちらか一方だけでは成り立たず、お互いがあってはじめて存在できるものです。
この陰陽の考え方を体温に応用してみますと、例えば、自分の平均的な体温が36.5℃だった場合、36.5℃より低すぎる35.0℃になると低体温症、免疫力の低下、代謝低下などを招く原因になり、逆に36.5℃より高すぎる38.0℃になると、のぼせ、出血、病気の兆しということになります。
私たちは常に、体温が下がりすぎたら温めて、上りすぎたら冷やして、平熱に戻そうとします。
陰陽も同じで、陽が足りなけば陽を補い(補陽)、陰が足りなければ陰を補い(補陰)、そうしてトータルバランスを整えていきます。
五行(ごぎょう)の秘密
五行は、全てを五つの要素(エレメント)に分けたもので、「行」は要素間の動的な関係を意味しています。
下図は五行の相関図です。
木・火・土・金・水(もっかどごんすい)の5つの要素があり、となりあわせの要素と相生(そうせい:助ける育てる)関係にあり、右回りにひとつとばしの要素とは相尅(そうこく:打ち負かす)関係にあります。木は燃えて火を生み、火は燃え尽きて土となり、土のなかから金が生まれ、金は朝露を集めて水を生み、水は木を育てる、という流れが相生です。
木は土の養分を吸い取り、土は水の流れを止め、水は火を消し、火は金(金属)を溶かし、金は斧などになって木を切る、という流れが相尅です。
この五行、つまり五つの要素も陰陽と同じように、お互いに過不足がないようコントロールしあうことで平衡を保っています。
人間の肝や腎といった臓腑も五行に分けられています。どこかの臓に問題が起こると、その臓だけでは済まない、ということが五行では簡単に説明がつきます。また、問題のある臓だけに注目するのではなく、根本的な問題がどこにあるのか、といったことも、五行ではわかりやすく適切な対応をすることができるのです。
例えば、木の要素を見てみましょう。
木は、上へ上へ伸びていく性質をもっており、上から押さえつけられることを嫌いますので、春はのびのびと過ごすと良い季節、風が強く吹くので伝染病やウイルス性の病気に気をつけなくてはいけません。また冬に不摂生をしていると春に肝に不調がでます。肝血が足りなくなると目がショボショボしたり筋肉がつったりします。肝気が上へ昇りすぎるとイライラして怒りやすくなります。そうした方の顔色は青いです。また酸っぱい味は肝を養いますので、肝が弱っている方は酸っぱい味を好みます。
肝が不調になると消化器系に影響を与え、胃もたれ・食欲不振・下痢といった症状が起こることがありますし、肝の不調の原因が肺にある場合もあります。
いずれにしても肝は冬に養うと良い臓ですので、冬の過ごし方も考えましょう。
・・・といった風に考えていきます。
陰陽五行論でバッチリ元気!
こうして中医学(漢方)では、陰陽論と五行論を組み合わせた陰陽五行論を応用し、病気や不調の原因を探り、根本的な問題に掘り下げて対応していきます。
根本的な問題がわかれば、ターゲット(原因)に直接アプローチすることができ、心身のトータルバランスを整えることができるので、元気で若々しい毎日を目指していけます。
「イライラしてどうにもならない」方に、補血(ほけつ)や養血(ようけつ)をおススメする理由がキチンとあるのです。
あなたの不調も病気もお悩みも、中医学(漢方)なら解決できるかも知れません。一人ひとり違うからこそ、一人ひとりに合った解決策があります。一緒に考えていきましょう。お気軽にご相談にいらしてください。
※漢方薬は医薬品です。あなたにピッタリのお薬をお選びいたします。服用の際は必ず薬草堂坂重薬局へご相談ください。
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