五月病
五月病というものがあります。
新学期・新生活、期の変わり目ということで、精神バランスが不安定になり、抑うつ・無気力・疲労感・焦り・不眠といった症状に悩まされることをいいます。現代医学では「適応障害」或いは「うつ病」と判断されがちで、抗うつ剤が処方されることが多いのですが、安易な服用はおすすめできません。
中医学(中国漢方)の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』には、『春に精神バランスを崩しやすい理由』とその対応方法が記されています。
長い年月を経て蓄積された漢方の知恵を、ライフスタイルに活用してみませんか?
五行でみる春

【春の特性】
五行では上へ上へと伸びていく習性がある木。
五気は風、風はウイルスや細菌・花粉などを飛ばす。
五臓は肝、血を蔵し、疏泄と筋を主る。
(肝の働きは)目に開竅し、華は爪にある。
五体は筋、肝の働きに左右される。
五味は酸。 冬に腎に蓄えた栄養を使って、春は肝が働きだす季節ですが、腎に栄養が十分に蓄積されていないと正常に働けません。
肝気(かんき)は上へ昇る習性がありますが、上手に発散させてあげないと、精神活動が不安定になります。緊張・ノイローゼ・パニック症候群・鬱病・ヒステリー・精神分裂症といった症状は、春に多いことが知られていますが、これは肝気が足りないかまたは肝気の流れが滞っていることが原因と考えて、補気(ほき)または疏肝理気(そかんりき)という方法で対応します。
また、肝に(同じく春に多い)風(ふう)が入ると、気分が沈み悲観しやすくなり、時々ひどく怒ります。この状態にある方は目の下が青いのですぐにわかります。
次に肝血(かんけつ)ですが、肝血(かんけつ)が十分に満たされていると「嬉しいことがあった時に目がキラキラする」というように精神状態と目の表現が結びつきます。
肝血(かんけつ)の不足は目に表れるため、目の痛み・涙・充血・目やに・しょぼしょぼする、といった時は肝血(かんけつ)が足りないと考え、補血(ほけつ)という方法で対応することになります。但し、白内障や老眼、かすみ目といった老化現象の場合は、腎の働きが低下していると考えますので、補腎(ほじん)という方法が適応されます。
肝気鬱滞
肝の働きのひとつに疏泄(そせつ)があります。疏とは「通じること」泄は「発散・昇発」を意味し、精神活動や臓腑の活動を伸び伸びと円滑に行うことを指します。
鬱滞(うったい:或いは鬱結)とは滞ることです。主にショックやストレス、過度な嫉妬、怨恨など精神状態の乱れが原因で起こります。
悪化すると肝鬱化火(かんうつかか)といって熱化(発熱・イライラ・生理不順・口渇・口苦・便秘・目の充血・激しい耳鳴りなど)につながります。
また、肝はもともと上へ上へ昇る性質がありますが、上へ昇りすぎてしまうと肝気上亢(かんきじょうこう)となり、頭痛・のぼせなどの症状が起こります。また胃気ともリンクしている為、ゲップ・食欲不振・胃腸障害などの症状へつながり、血の逆上も招きます。
春の生活養生法
早起きをしてカーテンを開け日の光を浴びましょう!
朝は散歩(または外気で深呼吸)をし、体をのびのびと動かしましょう!
春が旬の野菜と果物をたっぷり摂りましょう!
三寒四温、春は寒暖の差が激しい季節でもあります。
暖かい日でも、薄手の上着を持ち歩き、衣服を上手に調整しながら体温を守りましょう。また、上半身は薄着でも下半身は冷やさないようにすることがポイントです。まず気を流す事から
生活習慣・食事・漢方薬、この3本柱で気を伸びやかに流してあげることが大切です。
ストレッチやウォーキング、太極拳、ヨガなど、ゆったりと体を動かす習慣をつけましょう。気血の流れが良くなりますよ。飲酒はストレス解消になりそうに思えますが、深酒は問題を後回しにするだけなので留意しましょう。食養生
アサリ・ハマグリ・シジミ・アワビ・レバー・ほうれん草・にんじん・うど・フキ・タラの芽・セリ・香菜・ネギ・生姜・枸杞子(くこし)・菊花・シナモン・薄荷・柑橘類などです。
自然界はうまく出来ており、その季節に合った食物が旬を迎えます。旬の食べ物を楽しみましょう。詳しいケア方法は坂重薬局の専門スタッフにお気軽にご相談ください。
春の漢方薬

春におすすめの代表的な漢方薬は、逍遥丸(しょうようがん)・加味逍遥散(かみしょうようさん)・酸棗仁湯顆粒(さんそうにんとうかりゅう)など、サプリメントでは紅沙棘(ホンサージ)・珉好(ミンハオ)などです。
あなたにベストな漢方薬をお選びいたします。薬草堂 坂重薬局におまかせください!
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