PM2.5とスギ花粉
最近、ニュース番組で『PM2.5』の話題が絶えません。
中国の大気汚染が大きな要因と思われていますが、PM2.5の環境問題については古くから取り沙汰されており、特にディーゼル車の規制前までは日本も大気汚染物質を大量に排出していました。
地方自治体によるディーゼル車の規制は、2003年東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県にてようやくはじまり、2004年に兵庫県にて、2009年に大阪府にて施行されています。
都道府県によって基準値は若干異なりますが、光化学スモッグ警報、光化学スモッグ注意報の発令は今に始まったことではありません。
しかし、汚染された大気による健康被害もわかっているので、PMの特徴を知り、対応されるとよろしいでしょう。
PM2.5ってなに・・・?
『PM2.5』とは、2.5マイクロメートル(μm)の大きさの大気汚染物質(粒子状物質:りゅうしじょうぶっしつ)のことです。粒子状物質の大きさが10μmであれば、PM10と呼ばれます。
自動車排ガスの中の微粒子、石炭や石油の燃焼により発生する煤煙、工場や建設現場などの粉塵、黄砂などがこれに該当します。
有害な微粒子は、呼吸とともに体内に入り、鼻・喉・気管支・肺などの呼吸器に沈着し、気管支炎や気管支喘息、肺気腫といった健康被害をもたらします。
1μm=0.001mm ですが、この粒子が5μm以下になると肺の奥のほう、肺胞にまでいってしまいます。
PM2.5とスギ花粉が接触すると爆発する・・・?
埼玉大学の王青躍准教授によると、『PM2.5はスギ花粉と接触し、更に湿気などの条件があると爆発し、PM1.0という更に微小な物質となる可能性がある』そうです。
PM1.0=1μm=0.001mm ですから、普通のマスクでは通り抜けてしまい、防げません。
花粉もPM2.5もPM1.0 も、鼻や口から空気とともに吸い込まれ、体内に入りますが、特にPM1.0 は肺の奥のほう、肺胞にまで届き、沈着します。
症状としては、
咳がとまらない
気管支の疾患などがあります。
もちろん、花粉よりもずっと小さな粒子ですから、洗い流すことは難しく予防としては体内に入れないこと、が最優先です。2月18日の石原環境大臣の会見によると『3月末から5月にかけて偏西風が強まることによって黄砂とともにPM2.5の飛来が予想される。健康被害が出ない形で万全を期したい。』とのことで、更に東京都の発表によると、今年2013年の花粉飛散量は去年の5倍~6倍と予測されています。
もともと抱えている日本の汚染大気プラス中国からの汚染物質の飛来、そして去年の5倍~6倍の飛散量の花粉、目の前に迫った状況に対して、わたしたちに出来る予防方法として何ができるでしょうか。
PM1.0対策
まず、マスクをすること、です。
もちろん1μm(0.001mm)の物質も通さない仕様のものが良いでしょう。日本には工場や建設現場の方たち用の製品があります。次に、こまめに部屋の掃除を行うこと、です。 室内に入ったPM1.0 は、軽いので、空中を舞って一週間浮遊していることもあるそうです。床や机は、まず濡れたタオルで拭いたあと、乾いたタオルで拭く、二度拭きが良いです。また、加湿器や空気清浄機などもあると良いとのことです。
3つ目には、免疫力を正常化しておくこと、です。
花粉、PM2.5、PM1.0 などが肺に到達すると、免疫力が低下、体内でより深刻なアレルギー症状を引き起こす、とされています。 免疫システムを常に正常に働かせておくことは、最大限の防御努力といえます。中医学では、免疫力を衛気(えき)といいます。衛気(えき)について、また、衛気(えき)を正常に働かせる方法についてはコチラをご参考頂ければ、と思います。
拒絶反応とアレルギー反応
わたしたちの体は、環境や外敵から身を守る為の仕組みがたくさんあります。
その内のひとつが免疫力です。 簡単にいうと体が「敵」と見なしたものを、体から排除しようとする力です。しかし、何らかの原因で本来「敵ではないもの」を「敵とみなして」攻撃してしまい、結果、自分自身の健康をも損ねてしまう事があります。これが、拒絶反応とアレルギー反応です。
例えば、臓器移植などで他人の臓器が体内に入ると異物なので排除しようとするのが拒絶反応です。免疫システムが外敵だけでなく自分の体まで攻撃してしまうアレルギー反応にはⅠ型からⅣ型までタイプがあります。
Ⅰ型
IgE抗体による
じんましん・気管支喘息・アレルギー性鼻炎・食物アレルギー・ペニシリンアレルギーなど
Ⅱ型
IgM抗体、IgG抗体による
溶血性貧血・顆粒球減少症・血小板減少性紫斑病・輸血反応・新生児溶血症など
Ⅲ型
IgE抗体(免疫複合体)による
糸球体腎炎・慢性関節リウマチ・アレルギー性血管炎・全身性エリテマトーデス・強皮症・動脈アテローム硬化症など
Ⅳ型
Tリンパ球による
接触性皮膚炎・伝染性アレルギー反応・アレルギー性脳炎・潰瘍性大腸炎・重症筋無力症・B型肝炎・移植拒絶反応など
免疫力バランスを整えよう❣
現代医学では「アレルギー性鼻炎には抗ヒスタミン薬や抗コリン剤や抗炎症剤を処方」「気管支喘息には気管支拡張薬などを処方」「花粉症には抗ヒスタミン薬やステロイド(副腎皮質ホルモン剤)などを処方」といった対応が一般的であると思います。これらは今出ている症状を緩和し、落ち着かせるものです。これらの薬もとても大事なのですが、何故花粉症になっているのか、という事も忘れてはいけません。
中医学では「アレルギー性鼻炎」「気管支喘息」「花粉症」といったアレルギー反応は、衛気(えき)の不足によるものと考えます。つまり、自らの免疫システムが何らかの原因によって正常に働いていなくてアレルギー反応が起こっている事に注目し対応するという事です。
もともとの原因(免疫システムの異常)に対応しながら(本治ほんち)、今出ている症状を緩和する(漂治ひょうち)の二本立てで対応していきます。
漂治ひょうち
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、天津感冒片(てんしんかんぼうへん)、鼻淵丸(びえんがん)、香菊花(しゃんきくか)など。
漂治ひょうち
衛益顆粒(えいえきかりゅう)など。※漢方薬は医薬品です。服用の際は坂重薬局の専門スタッフにご相談ください❣
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