ヘルパンギーナ
夏風邪は、アデノウイルスなど高温多湿を好むウイルスによっておこる感染症で、プール熱(咽頭結膜熱)や手足口病、ヘルパンギーナなどが代表的な疾患です。
ウイルスは何種類もあるので、何度もかかることもあります。
なかでもヘルパンギーナの原因、エンテロウイルス属のウイルスは多彩な病状を示すので、注意が必要です。
ヘルパンギーナの特徴
飛沫感染、接触感染でうつる。
38℃以上の発熱。
口蓋垂(のどちんこ)あたりに水泡、腫瘍、炎症がおこる。
稀に急な発熱に伴う熱性けいれん。
稀に髄膜炎、脳炎、心筋炎などを併発する。
感染から潜伏期間は2~5日。
発症からおよそ3週間は二次感染期間と長い。
ヘルパンギーナと手足口病の違い
✰ ヘルパンギーナ
原因ウイルス:エンテロウイルス属の主にコクサッキーB型
発熱:突然38℃以上の発熱
症状:口蓋垂あたりに複数の水泡、炎症✰ 手足口病
原因ウイルス:エンテロウイルス属の主にコクサッキーA型
発熱:37℃~38℃、発熱しない事もある
症状:口腔内、手や足に多くの水泡、発疹
ヘルパンギーナも手足口病も、原因は同じエンテロウイルス属のウイルスです。
症状として手足にも水泡が広がる手足口病のほうが見た目は派手ですが、感染者は元気な場合が多いです。重症なのはヘルパンギーナのほうで、発熱やのどの痛みによって、飲食をいやがるので脱水を起こしやすい、体力を消耗しやすいといった点に注意が必要です。
尚、プール病(咽頭結膜熱)はアデノウイルスが原因ウイルスです。これら夏風邪の代表的な疾患に感染してしまったら、しっかりホームケアをして、治してあげましょう。
大人は危険?!ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは主に乳幼児や子どもが感染しやすい疾患です。
しかし、二次感染期間が主症状から回復したあとも長期間にわたること、幼稚園や保育園、小学校の登園登校停止の規定がないこと、飛沫感染、接触感染であることなどから、容易にうつしあいになることが多く、周りにいる大人も、夏バテや疲労などで免疫力が低下していたりすると感染します。
ヘルパンギーナは大人が感染すると重症化しやすい、といわれています。
高熱は通常三日ほど続きますが、4日以上続いた場合は再受診をおすすめします。というのも、ヘルパンギーナの原因ウイルスであるエンテロウイルスに感染するとまれに髄膜炎や急性脳炎、急性心筋炎を合併することもあるからです。
他には、口腔内の痛みです。
水泡やただれなどができて、飲食が困難になります。発熱でただでさえ脱水症状を起こしやすい時に、飲んでも食べても痛みを感じるので食欲不振になり、簡単に脱水症状に陥ってしまったり、食事をしないので体力が落ち、回復が遅れてしまうといった危険があります。
また、エンテロウイルスは口蓋垂あたりだけでなく、腸管内でも増殖するウイルスです。唾液だけでなく、便中にもたくさん排泄されていますので、手洗いをしっかりしましょう。
ヘルパンギーナになったら・・・
免疫力を高めよう!
夏風邪は、免疫力が低下している時にかかりやすいものです。
暑さによる疲労、食欲低下、寝不足、エアコンによる体力消耗など、免疫力・抵抗力の低下に気をつけて過ごしましょう。
中医学には、免疫力に相当する衛気(えき)を高めるための様々な知恵があります。
一つめは食事。
気は主に食べものから作られますので、栄養バランスの良い食事をしっかり摂ることが大切です。特に補気(ほき)作用のある食べものを積極的に摂るようにしましょう。補気作用のある食べものは、ウナギ・山芋・栗・大豆・枝豆・ネギ・きのこ類・ニンニク・生姜などです。
二つめは生活習慣です。
寝不足や寝すぎは気を消耗しますので、22時~5時までの睡眠が理想的です。難しい方は24時までには就寝し、6時間~7時間の睡眠時間を確保するようにしましょう。また、日中は活動し、出来るだけ涼しい時間帯に外へ出て、ウォーキングや太極拳、ヨガなどをして、外気を全身にめぐらせるように心がけましょう。
三つめは漢方薬です。
なかなか変えられない生活習慣だったり、食事で追いつかない場合は漢方薬が助けになってくれます。イスクラ衛益顆粒(えいえきかりゅう)は、玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という処方で、黄耆:白朮:防風が3:1:1のバランスで配合された漢方薬(第二類医薬品)です。 他に夏バテで低下している体力を補う麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう:第三類医薬品)などの製品もあります。
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