顔色でわかる弱点
「あら、顔色が良くなったじゃない」
「あら、顔色がすぐれないわね」
など、あいさつ代わりに顔色について声をかけることもありますよね。中医学では顔色を五色に分けて、それぞれ対応する臓と関連づけて考えます。
健康な方の顔は、血色良く、色つやが良く、潤いもあって、唇や舌はピンク色(淡い紅色)で笑顔でなくても輝いてみえます。
顔色を五色でわけると、青・赤・黄・白・黒、になります。
それぞれ対応する臓は、肝・心・脾・肺・腎です。つまり、顔色をじっくり観察することで、あなたの弱点、弱い臓と、かかりやすい病気がわかるということです。それではひとつずつ見ていきましょう。
顔色が青っぽい
顔色が青っぽい、こめかみに静脈が浮き出ている、手足の静脈も青く網目状に広がっているのが見える、白目が青味がかってる、そんな方は肝の機能が弱まっていることが多いです。
肝の特徴は、
血(栄養)の貯蔵庫
血流を調節する
疏泄をつかさどる
筋をつかさどる血の働きはとても大切です。
全身を滋養し、栄養だけでなく、酸素や気が順調に流れるように仕事をしています。血中の老廃物の排泄もしっかり行います。血が足りないと肝もうまく働けませんし、肝がうまく働けていないと血の仕事もうまくいきません。また、中医学では肝は目に開竅し、華は爪にあるといいます。
肝の機能が低下すると、目と爪に症状が表れやすくなります。
目がしょぼしょぼしたり、かすみ目、疲れ目、爪が割れやすい、などの症状が表れると、肝に問題があると考えて対応します。肝炎や肝腫瘍などの肝疾患にも注意し予防に努めましょう。
顔色が赤っぽい
顔色が赤っぽい、お酒を飲んでいないのにいつも赤ら顔、という方は心(しん)の機能が弱まっているかも知れません。
心(しん)の特徴は、
神をつかさどる
血脈をつかさどる
汗をつかさどる心(しん)は、心臓(ポンプ)、またこころのある臓です。
驚くと、心臓はドクドクと脈打ち、悲しい時には心臓がしめつけられるように痛みます。現代、精神活動は脳を中心に考えますが、心臓も心、つまり精神状態(神)と密接に関係していることがわかります。不安や不眠が度重なると心を痛めます。また、過度の発汗によって心の潤いや気が不足すると、心臓病に通じると考えます。また、中医学では心(しん)は舌に開竅し、華は面にあるといいます。
心の機能が低下すると、舌と顔(面)に症状が表れやすくなります。
味覚障害、ろれつが回らない、などの症状が表れると、心にトラブルが発生していると考えて対応します。心筋梗塞、狭心症などの心疾患に注意し、予防しましょう。
顔色が黄色い
顔色が黄色い、白目が黄色い、という方は脾(ひ:消化器系)の機能が弱い方に多くみられます。
脾(ひ)の特徴は、
運化をつかさどる
統血する
四肢・肌肉をつかさどる脾(ひ)は食べものを消化吸収して全身に運びます。そして、止血を助け、血管壁を正常に維持する仕事と、筋肉が元気に動くように栄養する仕事を担っています。脾(ひ)の機能が弱い方は、消化不良、不正出血、内臓下垂になりやすく、多くは日常の食生活に問題があると考えられます。一般的に日本人は胃腸が弱いのですが、冷たいものの飲食、生ものの飲食、暴飲暴食、食の不摂生などがますます脾の機能を低下させる要因になります。脾(ひ)がうまく働けないと気・血・津液のすべてに影響が及び、全体のバランスが崩れていきます。
また、中医学では脾(ひ)は口に開竅するといいます。
脾の機能が低下すると、口に症状が表れやすくなります。
ゲップ、口がねばる、食欲不振、味覚が変、などの症状が表れると、脾(ひ)にトラブルが発生していると考えて対応します。食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍といった食道・胃・腸の病気に注意し、予防しておきましょう。
顔色が白い
肌の白いは七難かくす、といいますが、顔色が白い方には肺の機能が弱い方が多いです。
肺(はい)の特徴は、
気をつかさどる
宣発・粛降をつかさどる
水道を整える
皮毛をつかさどる肺は呼吸器系の臓ですね。肺呼吸、皮膚呼吸だけでなく、全身の津液(しんえき:体液)バランスを整え、また、汗腺や体温の調整、免疫バランスの調整という仕事も担っています。宣発は上へ外へ向かう運動のこと、食べものから取りこんだ気と津液を特に皮毛(皮膚とうぶ毛)に送っています。粛降は下へ内へ向かう運動のことで、不要な水分を膀胱へ送ったり、汗が出すぎないように抑えたりすることも粛降の働きによるものです。
また、中医学では肺は鼻に開竅するといいます。
肺の機能が低下すると、鼻に症状が表れやすくなります。
アレルギー性鼻炎、鼻づまり、匂いがわからない、などの症状が表れると、肺に異常があると考えて対応します。肺炎、喘息、呼吸不全といった呼吸器系疾患に注意をし、予防しましょう。
顔色が黒い
顔色が黒っぽい、くすんでいる、どす黒い方は結構見受けられますね。くまがある方、全般的に肌の色が暗っぽい方も腎の機能低下の可能性が高いです。
腎(じん)の特徴は、
精を蔵す
生長・生育・生殖をつかさどる
水液をつかさどる
骨をつかさどる腎は生殖機能、また老化と深いつながりがあります。腎の機能を高めることはすなわちアンチエイジングであり、古くから不老不死を望む人類の為に研究が続けられてきました。腎は水まわりや骨もつかさどっているので、乾燥症状(ドライシンドローム)や、骨折しやすかったり骨が曲がるのも腎の働きが低下しているためです。
また、中医学では腎は耳と二陰に開竅するといいます。
腎の機能が低下すると、耳と二陰(排尿と生殖の器官、肛門)に症状が表れやすくなります。
難聴、耳鳴り、尿漏れ、トイレが近い、前立腺トラブルなどの症状が表れると、腎に異常があると考えて対応します。腎盂炎、CKD(慢性腎臓病)などの腎疾患に注意して、早め早めに予防していきましょう。
顔色をよく観察し、自分にもウィークポイントがあるのかな?と思ったらお気軽にご相談にいらしてください。気になることは相談してスッキリ解決しましょう!!
※漢方薬は医薬品です。あなたにピッタリのお薬をお選びいたします。服用の際は必ず薬草堂坂重薬局へご相談ください。
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