思春期にきびと大人にきび
一般に、20歳までのできもの(炎症性疾患)を「にきび」、20歳を超えたら同じできものでも「吹き出物」と呼ばれていますね。これらを医学的には「尋常性ざそう」といいますが、中医学では風邪・熱邪に注目をして体のなかから対応していきます。
風邪・熱邪とは?
自然界には、風・寒・暑・湿・燥・火の六つの気が存在しています。
これらが人間に悪影響を与えはじめた時に六淫の邪気と呼ばれます。このうち、にきびに関係するものは風邪(ふうじゃ)・暑邪(しょじゃ)・火邪(かじゃ)です。(熱邪は暑邪と火邪に関連します)
ひとりひとりによっても違いますが、にきびの経過によっても対応方法が変わってきます。例えば、最初は風邪による白いにきびだったが、次第に熱をもち膿んでくるようになったら熱邪が関わってきたと見て対応する漢方薬やスキンケア製品を変える、といった具合に症状にあわせて適切な対応が大切です。
若い頃の思春期ニキビと大人ニキビは原因が違う
10代~20代は陽気が盛んです。体力のある方、活発な方も同じ傾向にあります。
つまり思春期にできるにきびは、熱エネルギーがあり余っていて体内に熱がこもっている為と、成長過程の皮膚で皮脂分泌が過剰なのに毛穴が小さくて詰まりやすい為におこるといえます。特に陽気は上へ上へと昇る性質をもっていますから顔に表れやすく、春から夏にかけて熱活動が盛んになるためできやすくなります。一方、大人にきびはストレスが増えたりターンオーバーが上手くいかなくなった時に、にきびになりやすくなります。特に代謝バランスが崩れやすい口元やあごにできやすいです。季節に関係なく普段からのケアが大切です。
今までのスキンケアに問題がある場合もあります。
乾燥肌でにきびになるという方はお肌が乾燥を防ごうと皮脂分泌を過剰に行ってしまう結果ともいえます。スキンケア製品も含め、その方法が自分の肌にあっているのかどうか、きちんと知る為にも是非坂重薬局へご相談ください。
大人にきび 中医学的対応方法
10代では女性より男性の方が陽気盛んでニキビになりやすいですが、20歳を境に環境変化に伴い女性は大人ニキビに悩まされるようになります。年齢とともに代謝が低下していくため、肌の再生スピードが遅くなり、跡が残りやすくもなり、美肌の大敵ともいえるでしょう。
大人にきびは出来る部位やにきびの色や形により3つのパターンに大別されます。基本的には、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などの解毒薬をベースに複数の漢方薬を併用することで対応していきます。
痛痒いこともあるこのタイプは風邪(ふうじゃ)が主な原因です。わりと治りは早いです。また、胃腸がもともと弱い方、胃腸の働きが低下している状態の場合に多いタイプ。体内に溜まった余分な水や熱を排出する食べものや漢方薬で対応していきます。お酒の飲みすぎ・アイスクリーム・甘いもの・生ものなど、胃腸に負担のかかる飲食はしばらく控えるべきです。
オススメ食べ物
あさり・シジミ・いわし・かつお・昆布・山芋・松の実・ごぼう・なす・みょうが・セリ・イチゴ・バナナ・板藍根・金銀花・晶三仙オススメ漢方薬
基本の解毒剤プラス、便秘の時は通導散(つうどうさん)・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、胃弱には半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)・六君子湯(りっくんしとう)など。
血の流れが滞っているタイプで程度はやや重い為、根気強くケアしていく事が肝要です。 血の熱をとり、血行を改善していく食べ物や漢方薬、また日常生活では適度な運動・冷え対策などが必要です。帰りは一駅歩いたり、ストレッチでこまめに体を動かしたり、薄着や肌の露出の多い服装は控え、換気を良くしエアコンに頼らない生活環境を目指します。冷たいビールは胃を冷やしたあとに(アルコールなので)胃を熱します。辛いもの・香辛料など胃腸に強い負担がかかるので特に控えるべきです。
オススメ食べ物
カジキマグロ・カツオ・ひじき・黒豆・くらげ・セロリ・きゅうり・トマト・オリーブオイル・プルーン・田七人参茶・沙棘オススメ漢方薬
基本の解毒剤プラス桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・血府逐お丸(けっぷちくおがん)など
ストレスが多い方に見られます。強いストレスがかかると、気の流れが滞る気滞(きたい)という状態になります。生理前に悪化しやすい傾向にあります。気の流れを良くする食べものや漢方薬で対応していきます。併せて日常生活において、仲の良い友達と出かけたり、好きな趣味をもつなどストレスを上手に発散できれば、にきびは落ち着いてくることでしょう。
オススメ食べ物
鶏肉・アサリ・小豆・豆腐・ネギ・春菊・セロリ・らっきょう・紫蘇・グレープフルーツ・菊花茶・五行草・白花蛇舌草オススメ漢方薬
基本の解毒剤プラス加味逍遥散(かみしょうようさん)・大柴胡湯(だいさいことう)など
目指せ!ニキビレス
人間の皮膚は外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」という3重構造になっています。
表皮の一番外側は「角質層」で、最下層にある基底細胞で作られる新しい細胞に押し上げられ「垢」となって剥がれ落ちます。洗いすぎなどによって必要な皮脂まで落としてしまうと角質層に傷がつき、そこから雑菌や汚れ、紫外線、花粉などが容易に侵入でき角質層の下にある細胞に刺激を与え炎症をおこしてしまいます。
以下の点に注意をしてケアしてみましょう。
お化粧は帰宅後すぐ落とす
クレンジング後はたっぷりの細かな泡でなるべく水で洗顔
油分の少ない化粧品を使う
紫外線や乾燥を避ける
髪の毛や帽子など肌に刺激を与えないようにする
ビタミン類を多くとる
甘いものや脂っこい飲食は控える
ストレスを上手に発散させる
午後11時には就寝、睡眠は十分にとる
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