高プロラクチン血症(HPRL)
高プロラクチン血症(高PRL)とは、女性の無月経と排卵障害(不妊原因)のひとつです。
プロラクチンは、脳下垂体から分泌され、乳汁分泌を促す催乳ホルモンです。通常、妊娠から出産後に多くなります。出産後、授乳期間中に生理がきにくくなるのはこのホルモンの働きです。(母体の子宮の疲れが取れてくると生理がくるようになります。また授乳をやめても数か月間は生理がこない人もいます。)
高プロラクチン血症になると、中枢から卵巣までの性腺軸が抑制されるので、卵胞の発育や排卵が阻害され、黄体機能が低下します。
無月経や排卵抑制など、不妊の原因の1/3を占めるといわれています。
また、「生理がこない」などの症状がないので気付きにくいのですが、男性でも血中プロラクチン値が高くなると睾丸機能が低くなりますので、性欲減退やインポテンツになります。
プロラクチン(PRL)の基準値
女性 : 6~29ng/ml
男性 : 3ng/ml~16ng/ml排卵障害 : 30ng/ml 以上
プロクチノーマ : 80~100ng/ml 以上
(プロラクチンを作る細胞が増加し腫瘍になったもの。プロラクチン産生下垂体腫瘍ともいう)
主な症状
無月経
排卵障害
イライラ
肩こり
にきび
乳張痛、乳漏れ
基礎体温表のギザギザが大きい
誘因の多くはストレス
本来、妊娠~授乳中において増加するプロラクチンが過剰に分泌する要因には、薬物による影響、腫瘍による影響、ストレス・運動などの生理的要因があります。
薬物による影響(代表的なもの)
1.抗潰瘍剤・制吐剤(スルピリド、メトクロプラミド、ドンペリドンなど)
2.降圧剤(α-メチルドーパなど)
3.中枢神経薬(スルピリド、クロルプロマジン、ハロペリドール、パロキセチンなど)
腫瘍による影響
頭蓋咽頭腫、胚腫、非機能性腫瘍など。
生理的要因
ストレスのほか、運動直後にも一時的に高くなることがあります。運動をやめると元に戻ります。
その他
1.原発性甲状腺機能低下症2.視床下部、下垂体の異常
3.慢性腎不全
4.外傷
など。
こんな基礎体温は要注意
中医学の考えかた
高プロラクチン血症(高PRL)を中医学的に考えると、肝鬱気滞(かんうつきたい)、陽虚肝鬱(ようきょかんうつ)、陰虚肝旺(いんきょかんおう)、気血不足(きけつぶそく)のいずれか、または複合です。
このうち、陽虚肝鬱(ようきょかんうつ)の方を多く見受けられます。
現代医学では、プロクチノーマなどの腫瘍を外科手術で取り除く方法のほか、プロラクチンの分泌を抑えるカバサールやパーロデルといった薬物療法が行われています。
この薬は閉経する50歳くらいまで服用を続ける必要があり、一部の方には薬が効かない場合もあります。吐き気などの副作用も確認されています。
中医学では、イライラ・緊張感・ストレスフルなどで滞った気をスムーズに流すことからはじめ、気滞によりダメージを受けている肝の機能を高めていきます。
生薬では肝気をスムーズに流すもの、麦芽などが代表的です。麦芽は昔から卒乳をする際に使われてきました。炒麦芽(いりばくが)などの製品がありますが、ひとりひとりの体質や状況に応じて、複数の漢方薬・健康食品を組み合わせていきます。
ストレスは体に悪い、とわかっていても、なかなかうまく解消できない環境におられる方も多いでしょう。
特に不妊治療中の方は、基礎体温表を見ながらドキドキし、外でも自分の気持ちを押し殺して毎日を過ごしている方も多いでしょう。
そんな時は、紙に書くことをおすすめします。
人に言えないことを書いて書いて、やぶって捨てても良いですし、良いなと思った言葉、例えば「一日は24時間、できることだけやればいい」や「苦しい経験こそが未来の糧」といった短い文章を書いて壁に貼っておいてもよいです。
一人で悩まず、あきらめず、まずはお気軽にご相談にいらしてください。
中医学は病院の治療との併用が出来ます。
当店は、皆様のご相談を受けて、最良の方法は何か?何が最適であるか?をご提案する事が出来ます。
当店にお気軽にご相談にいらしてください。
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