おしっこの問題
おしっこに関するトラブルは突然やってきます。
今まで意識したこともなかった排尿が、ちょっと変だな、と感じるようになる、不安になりますよね。尿の出が悪い、残尿感がある
くしゃみをした瞬間に尿が漏れる、尿失禁する
夜間に1回以上トイレに起きる
頻尿、多尿「おしっこが近い」「排尿の時に痛みや不快感がある」といった方は、ほとんどが膀胱炎や尿道炎といった細菌による感染症です。その場合は病院の抗生物質で良くなりますが、病院へ行っても「年齢のせいですね」「原因がはっきりしませんね」「異常はありません」と言われる場合や、通院時は一旦は治ってもまた何回も同じ症状を繰り返す、といった方は一度、薬草堂坂重薬局へご相談にいらしてみてください。
残尿感の正体、尿漏れの原因、尿漏れの対策、夜間尿・頻尿の原因と対策、中医学には内臓の働きを強化することで尿トラブルを改善する知恵があります。是非、ご参考ください。
中医学の考えかた
中医学の基礎理論のひとつ、五行学説では尿トラブル=膀胱の機能低下=腎の機能低下と考えていきます。腎の機能が低下すると、耳が遠くなったり骨がもろくなったりします。また、恐がりすぎると腎を傷つけ、例えば豚肉などの鹹(しおから)い味は腎を補いますが、摂り過ぎると逆に腎を損ないます。
こうしたつながりをまず基本において、尿トラブルの原因別に対応方法を考えていきます。
残尿感の正体
「さっきトイレに行ったばかりなのに、また行きたくなる」「尿がスッキリ出た気がしない」「残尿感がある」その正体のほとんどは膀胱炎なので、最初は抗生物質で良くなります。
ところが問題なのは膀胱炎を繰り返し発症してしまうことです。細菌が抗生物質より強くなってしまう「耐性菌問題」、また非細菌性の膀胱炎などが原因として挙げられます。(※まれに腎疾患などの重い病気が原因の場合もあるので、まずは病院での検査をおすすめします)
中医学ではこうした症状を「淋症」といい、熱性の方へは猪苓湯(ちょれいとう)や五淋散、瀉火利湿顆粒などが代表的な漢方薬となります。
冷えのある方へは参茸補血丸(さんじょうほけつがん)を、また「活血通絡」作用のある食用蟻(イーパオ)を併用すると尚良いでしょう。胃腸が弱く、下半身は冷えるけどのぼせのある方(冷えのぼせ)、たらたらと排尿する方へは清心蓮子飲(せいしんれんしいん)が良いでしょう。
尿漏れの原因、尿漏れの対策
くしゃみや咳をした瞬間、大笑いした瞬間に「あ」と尿漏れをしてしまう、またはトイレに間に合わずに漏らしてしまう、女性に多い尿失禁。「恥ずかしい」という思いから誰にも相談できず悩んでしまう尿漏れでしたが、昨今では尿漏れ用のパッドのCMも明るく流れるようになり、非常に良い時代になったと思います。
尿漏れ、尿失禁は大きく3つのタイプに分けられます。
腹圧性尿失禁
切迫性尿失禁
反射性尿失禁腹圧性尿失禁は、高齢の方だけでなく出産後の女性にも起こりやすいもので、主に骨盤の筋肉が弱くなり、膀胱を支える組織が緩んで、くしゃみや咳、大笑いをした瞬間に尿漏れをしてしまうことです。
この場合はまず、骨盤内筋肉を鍛える軽い運動(肛門を胃の方へ上げる気持ちで10秒間しめる→20秒リラックス→肛門を10秒しめるの繰り返し)で大部分は改善できます。
次に切迫性尿失禁ですが、突然激しい尿意がきてトイレまで間に合わなくて失禁してしまうことです。神経質な方、ストレスフルが原因で脳と膀胱との連携プレイがうまく出来ていない場合に多いです。
3つめの反射性尿失禁は、膀胱に尿が溜まっても尿意がないまま、尿失禁してしまうことです。原因としては脊髄や神経系の障害が考えられます。
中医学(中国漢方)では、体の冷えを解決することと腎の機能を補うことで対応していきます。
まず、腹圧性尿失禁の方の場合、主に腎の機能低下が考えられます。骨盤内筋肉を鍛える軽い運動だけでは改善できない場合、補中丸(ほちゅうがん)や海馬補腎丸(かいまほじんがん)・参馬補腎丸(じんばほじんがん)といった補腎薬(ほじんやく)を使います。また、体を冷やす飲食や服装は控えることが大切です。ストレスフルな環境にいる方、神経質で不眠がち(或いは多夢)な方は清心蓮子飲(せいしんれんしいん)を用います。
脳や脊髄損傷などによる上位感覚神経の障害のために、尿意が大脳まで伝達できなくなっている状態の場合は、参馬補腎丸(じんばほじんがん)や至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)などが代表的な漢方薬となります。
ひとりひとりの体質や症状に合わせて適応の漢方薬が異なってまいります。お気軽にご相談ください。
夜間尿・頻尿の原因と対策
夜間尿や頻尿は主に腎陽虚(じんようきょ)という状態です。腎陽虚は老化と関係が深く、夜間尿・頻尿以外にも「冷え性」「抜け毛」「関節痛」「ひざや腰の痛み」「疲れやすい」「やる気や根気が持続しない」といった症状を併せ持つ方が多いでしょう。
高齢の方だけでなく、先天的に腎の力が弱い方や出産にて一時的に腎の力が衰えている方などに多いタイプです。
日本では八味地黄丸がよく処方されますが、八味地黄丸では腎を補いきれないので、至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)もしくは蘭州金匱腎気丸(らんしゅうきんきじんきがん)を活用されると良いでしょう。但し手足がほてる方へは至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)、蘭州金匱腎気丸(らんしゅうきんきじんきがん)は使用できませんので、お気軽にご相談にいらしてください。
残尿感、尿漏れ、夜間尿の食養生
★ 体を温める食べもの ★
💧 ショウガ
💧 ニンニク
💧 ねぎ
💧 シナモン
💧 朝鮮人参
💧 うなぎ
💧 羊肉★ 腎を補う食べもの ★
💧 黒豆
💧 黒ゴマ
💧 黒きくらげ
💧 山芋
💧 くるみ
💧 高麗人参★ 水代謝に良い食べもの ★
💧 冬瓜
💧 緑豆
💧 はと麦
💧 昆布
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