味覚障害の予防と改善
味覚障害とは?
味覚障害は、実際に経験したことのある方にしかわからないつらさがあります。
何を飲んでも、何を食べても、味がわからない。
なかなか想像しにくいかも知れませんが、食べる楽しみや喜びがなくなる、ということです。毎日毎日のことです。
味覚の仕組み
味覚は動物の五感のひとつです。
人間の味覚センサーは舌にある味蕾(みらい)で、およそ10,000個あります。食べものの成分が唾液とともに味蕾(みらい)に運ばれてくることによって味を認識できます。
よって、味覚を感じるためには味蕾(みらい)と唾液が大切なのです。
味蕾はおよそ2週間毎に再生しますが、味蕾の再生には亜鉛が必要なので亜鉛不足だと味蕾がうまく再生できず味覚障害が起きやすくなります。
また、加齢などにより口のなかが乾きやすくなり、唾液の分泌が少なくなった場合も味覚障害が起きやすくなります。
もしかして味覚障害?
「このところ味がよくわからない」
「最近、食事を作ると、家族に味が濃いと言われる」もしかして味覚障害?
簡単にチェックできる方法があります。水200ccを入れたコップを2つ用意します。
1つには、砂糖5gを入れ溶かします。もう1つには、塩を2.5g入れて溶かします。
テストを受ける方へは、どちらが砂糖水か塩水か、わからないようにして、両方をスプーン1杯づつ味見していただきます。すぐに「塩!」「砂糖!」とわかれば問題ありません。すぐに判別できないようなら味覚障害の可能性があります。
中医学でみる味覚障害と漢方薬
味覚を感じる舌は中医学では脾胃(消化器系)の一部と考えます。中医学では大きく2つのタイプに分けて対応していきます。
唾液不足タイプ
唾液に起因する味覚障害です。
水分が常に不足している状態なので、口が渇き、咳がでやすく、肌はかさつき、固い便または便秘になりやすい状態です。(肺腎陰虚)
加齢のほか、特に夜型生活をしている方に多いのがこのタイプ。体のほてりをさます夜に活動しているので潤いが常に足りなくなります。昼は活動・夜は睡眠して休息といった自然のリズムで生活することが一番ですが、難しい方は漢方薬で調整してみましょう。また、昼にしっかり運動して熱を発散させておくというのも手です。潤いの足りない方は香辛料も控えめにしましょう。
まずは唾液がでやすい状況を作ってあげることが大切です。そして水分代謝機能を正常な状態に戻していってあげましょう。
代表的な漢方薬は、麦門冬湯(ばくもんとうどう)や白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)などです。
元気不足タイプ
脾胃(胃腸)の気(=生命エネルギー)が足りないことに起因する味覚障害です。
手足が冷えやすく寒がり、やる気や根気も持続せず、精神的にも弱くなっています。また、エネルギーは筋肉で生まれるため筋肉も弱くなっている場合が多く、腰痛・ひざ痛・失禁などの筋肉に関係する衰えがでています。
まずは体を内と外から温めることが重要です。加えて、自分でエネルギーを作れるような体つくりを目指しましょう。抵抗力もついてきます。
おすすめの漢方薬は補中丸(ほちゅうがん)や健胃顆粒(けんいかりゅう)など。脾胃に余分な水分が停滞していて腹部膨満感や倦怠感を伴う時には、勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)もよく使われます。
上記2タイプの他、糖尿病や腎疾患、肝疾患、悪性腫瘍など、疾患の症状として表れる味覚障害については、それぞれに合った対応方法がありますので、ご相談にいらしてください。
唾液を増やすセルフケア
唾液の分泌を促すために、自分でできるセルフケアをご紹介します。
耳下腺マッサージ
耳下腺(じかせん)は大唾液腺のひとつで、耳の前あたりの頬、エラの部分あたりにあります。
両手の親指以外の4本の指をそろえて、後ろから前へ、円を描くようにやさしくマッサージしてみましょう。舌下腺マッサージ
ちょうど舌の真下あたりに舌下腺(ぜっかせん)という大唾液腺があります。
あごの下に両手の親指をあてて、上へ向かってぐ~っとゆっくり押してみましょう。
※漢方薬は医薬品です。あなたにピッタリのお薬をお選びいたします。服用の際は必ず薬草堂坂重薬局へご相談ください。
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