めまい
めまいがあり、気になって病院に行っても、原因不明といわれたことはありませんか?
めまいには多種多様な原因があり、また診察がしづらく真摯に受け止めてくれるお医者さんが少ない、といわれています。とはいえ、めまいという症状が出ている最中にタイミング良く受診できる方はそうそういらっしゃらないと思います。
ではまず、あなた自身がよく知っている、あなたのめまいはどのようなタイプか、を考えてみましょう。
人間はどうやってバランスを保ってる?
人間は主に、目・耳・筋肉・関節・脳でバランスを保っています。目・耳・筋肉・関節といったセンサーで感知した情報を脳へ送り、脳は総合的に判断して全身をコントロールします。
ところが目というセンサーに何らかのトラブルが発生し、目が脳へ送った情報と、耳というセンサーが感知した情報とが違うと、脳が混乱してしまい、身体のバランスを正しくコントロールできなくなってめまいを起こします。また、センサーが全て正しく動作していても、脳にトラブルが発生している場合もやはりバランスをコントロールすることが難しくなってしまい、めまいとなって現れます。
めまいのタイプ
くらっとするめまい・・・起立性めまい
立ちあがったタイミングや、立っている時に起こるめまい。
目の前が真っ暗になったり、ひどい時はそのまま気絶してしまいます。これは「起立性低血圧」が主な原因です。人間は横になった状態や座った状態から起立する時に、一時的に血圧が低下します。健康体であれば血圧の変動値も小さく、脳への血量が足りなくなるということはありません。もともと一日のうちでかなり変動する血圧の恒常性を維持する器官は色々ありますが、秒分単位の調整を行っているのは自律神経です。
【起立性低血圧になる要因】
*不整脈、心機能不全、動脈硬化
*自律神経の不調
*加齢による反応力の低下
*貧血(血が足りない状態)
*産褥期(血をたくさん使う為、血が不足しがちな期)
*過食症、拒食症
*多量飲酒や糖尿病、アジソン病などによる脱水症
*抗うつ薬、マリファナなど薬物(による副作用)
ぐるぐる回るめまい・・・回転性めまい
実際には身体は動いていないのに、目の前の景色がぐるぐる回っているようなめまい。
仰向けから寝返りを打つとめまいがする、頭を動かすとめまいがする、座った状態で横になるとめまいがする、ひどい時には吐き気や嘔吐があります。主な原因は良性発作性頭位めまい症です。良性発作性頭位めまい症は耳の「三半規管(平衡感覚をコントロールする器官)」のなかに耳石(じせき)が入り込んでしまった為に起こるめまいです。
耳石は通常、三半規管の隣にある耳石器に乗っていて、三半規管と共に平衡感覚を保つために働いています。何らかの原因でこの耳石が三半規管に入りこんでしまった場合、回転性のめまいを引き起こします。この場合は、耳石をもとの位置に戻してあげる事、もとの位置から離れないように対応することで治ります。
良性発作性頭位めまい症の症状に頭痛や手足のしびれ、ものが二重に見えるといった症状がプラスされるようであれば悪性頭位めまい症の可能性もあります。
悪性頭位めまい症の原因は脳の小脳虫部(下虫)付近の腫瘍や出血、小脳萎縮などであり、めまいと同時に頭痛・吐き気・嘔吐を伴いますので、めまいが起こる姿勢になりたがらないのが特徴です。とても危険な状態といえます。また前庭小脳に傷がついている時も同様の症状がみられることがあります。疑いのある方は、すぐに脳外科、脳神経外科の受診をおすすめします。
ふわっとめまい・・・浮動性めまい
まっすぐ歩けない、雲の上を歩いているような感じがする、長時間繰り返して続く、首や肩のこりを伴う事が多い、めまい。
顔面や手足のしびれ、まひ、頭痛などを伴うこともあります。めまいの症状自体は、起立性めまいや回転性めまいよりも軽いのですが、原因が多岐にわたり特定しにくいことが診断を難しくしています。
【浮動性めまいになる要因】
*脳に障害がある
*貧血や低血圧
*ストレス過多、自立神経の不調
*眼精疲労など。
いずれにしても、今起こっている浮動性めまいだけを考えるのではなく、過去にパニック障害や自律神経失調症と診断された事がないか、起立性低血圧を持っていないか、ストレスフルでないか、眼を酷使していないか、脳に腫瘍や出血、障害が見つかっていないか、などを細かにチェックして総合的に判断し、対応すると良いでしょう。
中医学で考えるめまい
中医学では、外部から侵入したり体内で生まれた邪(病因物質、オ血)による実証のめまいと、内臓機能の衰え(精・気・血・津液の不足)による虚証のめまいにまず大きく分けられます。次いで、陰液の消耗による「肝陽上亢」タイプ、気血の消耗による「気血虧虚」タイプ、腎陰の不足による「腎精不足」タイプ、脾胃の損傷による「痰濁中阻」タイプと、原因別の4つのタイプに分けて対応していきます。
たかがめまい、されどめまい、です。
めまいの裏側に重大な病気が潜んでいることもあります。ちょっとした心がけですぐに解決するものもあれば、外科手術や漢方薬で元々の原因を解決することが必要な場合もあります。漢方薬は効き目が遅い、と思われている方もいらっしゃると思いますが、それはちょっと違います。急性の疾患であれば効果は早く漢方薬の服用期間も短く済みます。時間をかけて育ててしまった病因であれば、それなりの時間がかかります。しかしいずれにしても「最終的には近道であった」とおっしゃるお客様も多くいらっしゃいます。また、現代医学との併用ももちろん出来ます。お気軽に薬草堂坂重薬局へご相談にいらしてください。
症例:28歳男性
◆ クラクラするめまいがある
◆ 熱中症になった事がある
◆ 午前中に集中して起こり仕事も休んでしまう
◆ 原因不明と診断された熱中症が重症化すると、小脳の細胞が傷つけられて、小脳性運動失調という障害が後に残ってしまうことがあります。しかしこの方の場合、軽度の熱中症でしたのでめまいの症状と熱中症とは直接の関連性が薄いです。
午前中にめまいを強く感じるということなので、耳の異常や自律神経の失調が考えられます。色々とお話を伺っていると、人事異動に伴う職場でのストレスフルが感じられましたので、逍遙丸(しょうようがん)と杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)を服用いただき、二日ほどで仕事を休むほどのめまいはなくなり、三ヶ月後には興奮したりイライラしやすくなることもなくなりました。
現在は腹式呼吸などで気持ちを落ち着かせる事が難しい時のみ、逍遙丸(しょうようがん)を少量服用するようご自身でコントロールされています。
症例:35歳女性
◆ ぐるぐると回るようなめまいがある
◆ 梅雨から夏の期間だけめまいが起こる気温の上昇に伴い、血管が縮小し血圧が低下しやすくなります。また起床まもなくの午前中も同様の理由により、めまいやふらつきが出やすくなります。対策としては
* バランスの良い朝食を採る
* 日ごろから軽い運動をする中医学で考えると、主に津液(潤い)不足です。単純に水で補水すれば良いというわけでなく、もしほてりなどがある場合は「焼け石に水」にならないように、津液不足になる原因も解決する必要があります。
この方へは麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)と八仙丸(はっせんがん)を6ヶ月ほど服用いただき、次年からはめまいが起こらなくなりました。またもともと夜型生活でしたが、夜は10時半には就寝して頂き、生活習慣を改善して頂けた事が大きかったと思います。
症例:66歳男性
◆ 良性発作性頭位めまい症と診断された
◆ 耳石をもとの位置に戻す治療を行ったが治らない耳石は炭酸カルシウムという小さな粒です。高齢の方の場合、カルシウム不足で耳石がはがれてしまう事が多いので、第一段階では耳石をもとの位置に戻し、第二段階では食事やサプリメントカルシウム不足を解消する必要があります。中医学では同時に補腎(ほじん)を行い、抗老防衰を目指します。
この方へは、八仙丸(はっせんがん)とイーパオ(益宝)を服用頂きました。
特に食用蟻の配合されたイーパオはオススメです。小さな体で大きな食べ物を運ぶことの出来るアリのパワーに注目して作られた健康食品で、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、マグネシウムなどの人体に必要な微量元素類(ミネラル類)をはじめ、アミノ酸、蛋白質などがバランス良く含まれています。
尚、耳石をもとの位置に戻す方法は医院によって異なり、エプリー法やブラントダロフ法、独自の方法、などがあります。
例えばブラントダロフ法の場合は、右のような方法です。
しかし、やはり医院で眼球の動きを見てもらいながら三半規管の中の耳石の位置を確認しながら治療した方が良いので、耳鼻科やめまいの専門医院で治療をして頂き、その後、漢方薬で再発を防ぐ、といった方法をオススメしたいと思います。
現代医学、中医学を上手に活用しながら、根治を目指していきましょう!!
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