痔
痔になりやすい日本人、全体の9割方を「いぼ痔」「切れ痔」「痔瘻(じろう)」が占めています。
中医学では痔は、ストレス・喫煙・過労・生活リズムの乱れ・食生活の乱れ・冷え・運動不足などによって、結果として痔という症状に至ると考えます。
よって、漢方薬がお手伝いをしてくれますが、根本的な問題を改善しないと繰り返し痔に悩むことになるでしょう。
発症のメカニズムが解明されていない、痒みを伴うので皮膚炎症を悪化させやすい、また之といった治療方法が確立されていない為、しばしば難治性の皮膚疾患とされてきました。
痔の種類
多いものを3つ紹介します。
いぼ痔(痔核)
痔のなかで一番多いのがいぼ痔(痔核)で、肛門の外側にできたものが「外痔核」、内側にできたものが「内痔核」です。便秘などで、固い便を無理やり出そうと強くいきんだ際に肛門に大きな負担がかかり、肛門付近の静脈がうっ血することでいぼになってしまいます。
外痔核は中に血の塊ができたりすると当然の激痛に襲われます。
内痔核の初期(Ⅰ度やⅡ度)では、排便時の出血や、肛門付近で出たり入ったりするいぼが痛かったり痒かったりします。重症化(Ⅳ度)=いぼが硬化すると出血も痛みもなくなり、いぼは外に出て収まらなくなり、粘液で下着を汚すようになったりします。
切れ痔(裂肛)
特に女性に多い切れ痔は、もともと肛門が狭い方や慢性的な便秘や下痢の方がなりやすいです。
文字通り、肛門周辺の皮ふが切れてしまう症状で、すぐ切れてすぐ治る、を繰り返していくうちに、肛門周辺の皮ふがもろくなったり筋肉の収縮がうまくいかなくなったりします。
痔瘻(じろう)
あな痔とも呼ばれる痔瘻(じろう)は、下痢などによる細菌感染が主な原因です。直腸の下にある歯状線(しじょうせん)には肛門陰窩(こうもんいんか)という小さなくぼみがあります。 通常はそこに細菌が入り込む事はないのですが、体力が落ちている時に下痢などをした場合、稀にそこに大腸菌などが感染し膿ができ、痔瘻(じろう)となります。
化膿による膿と発熱、排便時以外でも肛門周辺に痛みがあります。悪化を長期放置しておくと痔瘻(じろう)ガンになる可能性もあるので、手術が必要な場合もあります。
中医学で考える痔
貴方の痔はどんな状態でしょう??
* 肛門部に熱感がある * 食べすぎると痔になる、痔が悪化する * 大便が硬く便秘する * 排便困難でいきむことが多い * 痔になってからも冷たいものをよく飲む * 小便が濃い * 排便後に痛みが和らぐ * 出血の勢いが激しい * 出血の色は鮮やかな赤色 * 辛いものや味の濃いものが好き * 便臭が強い |
![]() ❆代表的な漢方薬❆ 防風通聖散など。 |
* 肛門部がジメジメして熱感がある * 肛門部にかゆみがある * 肛門部が重い * 下着に黄色の汚れがつく * 辛いものや味の濃いものを食べた後に痔になった * お酒の飲みすぎで痔になった、痔が悪化する * ポタポタ落ちるような出血がある * 排便時の痛みが強く、排便後は痛みが軽減する * 大便がベトベトし、便器に付着する * 粘液便がでる * 便臭が強い * 排便がスッキリしない |
![]() ❆代表的な漢方薬❆ 乙字湯、浸膏槐角丸、瀉火利湿顆粒など。 |
* 肛門部に冷感がある * 冷えると痔が悪化する * 冷痛するものの下半身が冷えている感じはない * 患部を温めると楽になる * 冷たいものを摂りすぎた後に痔になった |
![]() ❆代表的な漢方薬❆ 安中散など。 |
* 肛門部にジメジメして冷感がある * 寒冷刺激や多湿時に痔が悪化する * 患部を温めると楽になる * 冷たいものを摂りすぎた後に痔になった |
![]() ❆代表的な漢方薬❆ 苓姜朮甘湯、胃冷湯、当帰芍薬散など。 |
* 肛門部に熱感があり乾燥している * 肛門部が切れやすく、裂瘡がある * 大便がコチコチにな硬い * うさぎの糞みたいな便 |
![]() ❆代表的な漢方薬❆ 麻子仁丸、潤腸湯など。 |
* 痔核はやわらかい * 痔核が脱出したまま * 疲労により痔になった、痔が悪化する * 痔になってから身体が重だるい * 食欲不振、食が細い * 休息すると症状が楽になる * 出血は少量で、だらだらと長引く * 大便がゆるいことが多い |
![]() ❆代表的な漢方薬❆ 補中益気湯など。 |
* 患部は青紫色 * 痛みや腫れが夜間に加重する * 痔が慢性になっている * 出血の色が青紫色、または暗紅色 * 刺すような痛みがある * 脈をうつように痛む |
![]() ❆代表的な漢方薬❆ 桂枝伏令丸、桃核承気湯など。 |
また、外用薬として紫雲膏(しうんこう)があります。当帰(とうき)と紫根(しこん)を原料とした軟膏で、痔の外用薬としても使われています。
上記は代表的なタイプですが、ひとりひとりの状態によって適切な漢方薬を選ばないと効果は期待できません。自己判断せず、坂重薬局の専門スタッフにお気軽にご相談ください。詳しいケア方法もご案内しております✩
痔の養生法
食事の注意
食べすぎ・飲みすぎは禁物。腹七分を心がけよう。
便秘がちな方は、食物繊維の多い食べ物を積極的に摂り、はとむぎ茶などでこまめに水分補給をする。 胃腸の弱い方は、肉・脂・油を控え、豆腐やきのこ類、山芋、大根など消化の良い食べ物を。香辛料、スナック菓子や添加物は控える。軽い運動を心がける
一日一回の排便習慣をつける
病気が原因の場合はまずその病気を治す
生活リズムを整える
入浴時は清潔を心がけ、よく温まる
簡単なのに驚く効果❣親指立ちストレッチ
立ち仕事やデスクワークで、血行が悪くなっているなぁと感じている方は、こまめに手足を動かす習慣をつけましょう。机の下でこっそり足を曲げたり伸ばしたりするだけでもだいぶ違います。ここでは家事をしながら、仕事の休憩時、電車の中など、ちょっとした合間に出来る親指立ちストレッチをご紹介します。
まず、足をまっすぐに立ち、気をつけの姿勢になり、そのまま親指立ちを10秒間キープ、お尻の穴をキュっと引き締めるつもりでやってみてください。
まっすぐ立つのが苦手という方は、壁に手をついて親指立ちをしてみましょう。10秒間キープを5回繰り返し、この時、つま先とかかとが上手にくっついていると、内ももや、内側のふくらはぎなども鍛えられます。
親指立ちストレッチは、姿勢や血行を良くし、筋肉を鍛える目的があります。
痔でお悩みの方、首・肩・腰が痛む方、肩こりのある方、冷え性の方、生理痛のある方も是非お試しください。
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